未分化型初期胃がんからの帰還

2015.5.14の未分化型胃がん発覚から入院・手術・退院まで あっという間の6週間の日誌です。同じ経験をされる方の参考になれば幸いです。古い記事を頭に持ってくるためにブログの日付が逆行しています。ご容赦ください。5年間は年2回ペースで投稿します。

ほぼ実話 イモリの恩返し

2017.4.9達成したホールインワンの記事が10月のクラブの会報に載りました。

特に著作権上の問題もなさそうなので元気のあかしに転載します。

 

ホールインワン報告書  「ほぼ実話 イモリの恩返し」
作 沢田元一郎 「まんが日本昔ばなし」風にお読み下さい


東蔵王いずみ7番ホールの池にはイモリのイモ太郎と言うのんびりものが住んでおった。

その日は薄日の差す両生類日和じゃった。
イモ太郎は水辺でひなたぼっこを楽しんでいたのじゃが、突然いたずら者のカラスのカア助につまみ上げられ、あっという間に空の上。

「たまにはオラみたいに広い世界を眺めてみろや」
のんきに空から東蔵王の眺めを楽しんでおったイモ太郎じゃったが、みやま4番グリーン上でカア助がうっかり「カア」とやってしまったばかりに真っ逆さま。

「ひゅるひゅるひゅる カコーン」
見事カップインのイモ太郎は「う~ん」と言ったきり、気を失ってしもうた。

と、そこにやってきたのがお得意様とゴルフに来ていた元助という中年男。
なんとか3打でグリーンオンさせてカップを覗き込んだところ、真っ黒でヌメッとしたものに気がついた。

「なんじゃ~?」
とその物体をつまみ上げたところ、裏側は毒々しい赤に黒のまだら模様。

「イモリじゃな。なんでこげなところに~?」
と思った元助じゃったが、「たしか最終ホールに池があったから、そこで放してやるかいの。」
とマイ砂袋にぐったりしたイモ太郎を入れ、プレーを続けたのじゃった。

最終ホール、池の手前で首尾よくそのことを思い出した元助は、イモ太郎を池に放った。
「えい!」  ぽっちゃーん
気を失ってぷかりと浮いていたイモ太郎じゃったが、我に返るとシュルシュルと水底に消えていき、元助はそのホールを3オン2パットのパーで終え、気分良く帰っていったそうな。

さて翌朝の2017年4月9日、元助はまたもや東蔵王のティーグランドに立っていた。元助は上手くなりたい一心で身の程も顧みず、ゴルフ侍が集う研修会に参加していたのじゃった。

この日も元助は、関口様、東海林様というお侍二人に囲まれ緊張の極みじゃった。
出だしのいずみ2番でトリプルボギーとして意気消沈の元助じゃったが、二人にご迷惑をかけまいと7番ホール154yd池超えのパー3までなんとかたどり着いたのじゃった。

ティーグランド、元助はアゲインストに向かい愛用のMP54七番をハッシと振り抜いた。
放たれたスリクソンZ-STAR55番はなんとピンに向かって一直線。

「やや! もしや入るのではないか!」
侍二人のお言葉に聞きながらも「こりゃちょっと強過ぎじゃな」ティーを抜きながら元助は思ったそうな。

そんな光景を池から見ていたものたちが実は他にもおった。
それはイモ太郎とその家族、それに朝早く平謝りでみやま9番からイモ太郎を連れ帰ったカラスのカア助じゃった。

「こりゃ~たしかに強すぎる。それぃ、みんなで気を送るんじゃぁ。」
イモ太郎一家は、小さな前足を上げるとゆらゆらと振りながら、両生類特有の粘っこい気を送った。

するとどうじゃ、グリーンに落下したボールはイモリの気に引っ張られ、徐々にスピードを落とし見事にカップイン。
お侍二人もキャディのおみかも大喜び、元助は生涯最高の時を迎えることになったのじゃった。

さてイモ太郎じゃが、元助がその後うっかりやまざと3番の池に放り込んでしもうた記念ボールをどうやって返そうか今も思案しているそうな。
(おしまい)