10.いよいよ手術を受ける 2015年6月10日(水)
5:50ごろに起床。
朝食は抜き。
渡されていた経口補水液(CMよく見るやつ 決して美味しいとはいえない)を飲みながら、院内コンビニで買った新聞を読み、トイレを済ませる。
8時過ぎには家内が来る。
世間話をしていると、看護師さんがやってくる。
術衣に着替え、血栓防止のストッキングを履くと、内部の局内者用エレベータで手術室へ。
局内者用スペースへの入り口で家内とはお別れだ。
本来は緊張しいな私だが、ここに来てもさほどの緊張はない。
がんの宣告以来、基本的にはまな板の鯉の気分のままが続いている。
手術室はかなり広い。担当医のK3先生含め7,8人のチームバチスタが出迎えてくれる。
「広いですねぇ」
正直な感想を言うと、
「そうなんですよ~、移転前の手術室は狭くて大変だったんですよ〜」
と教えてくれる。
最初に、氏名と手術内容の確認。
「お名前と本日の手術内容をおねがいします」といわれ、氏名と手術内容を自ら話すと、気分的にも、「さあやるぞ」という気持ちが湧いてくる。
(実際には「さあやられるぞ」が正しい)
幅の狭い手術台に寝かされ、先生から詳しい手術内容の説明を受ける。
内容はほぼ忘れてしまったが、硬膜外麻酔の説明を聞いていると今更だが若干気が滅入ったことを覚えている。
そして早速その硬膜外麻酔が始まる。
横向きになるように促され、術着をまくり上げられる。
「まず痛くないように背中に麻酔注射をします。これそのものも結構痛いんですけどね。」
そりゃたしかに痛いだろうなぁ。
あきらめの境地で注射を受ける。
確かになかなかの痛さで思わず「うっ」と声が出る。
「さて管を入れますよ、はい背中を丸めてぇ」
こっちだって痛いのはもう嫌だ。
なるだけ脊椎の隙間をあけるべく背中を大き丸めようとする。
ちょっと背中を丸くして、さてここからと思った時「ずい〜ん」という衝撃が!
タイミング悪く、こちらサイドの作業途中で早くも管の挿入が始まってしまったのだ。
これは痛〜い!
体中から冷や汗が出る。
さらに悪いことに管の入りが悪いようで、背後から「あれ?」とか声が聞こえる。
「中止しませんか?」
と言いたかったが、そうも言えず息も荒く我慢しているとようやく管の挿入が終わり、今度は仰向けになるように言われる。
仰向けになると半透明の酸素マスクと、左腕に点滴を入れてもらう。
「はい、ではこれから少しずつ麻酔の薬を静脈に入れていきます。深く呼吸をしてくださいね。」
「よろしくお願いします。」
僕は覚悟を決めて目を閉じた。
「目は閉じないで!! なるだけ起きているようにがんばってください。」
「あ そうですか・・」
ばつの悪い思いで、再び目を開けた数十秒後、
デスクトップPCの電源コードをひっこ抜いたように、何の前触れもなく、僕は意識を失ったのである。
ーつづくー