未分化型初期胃がんからの帰還

2015.5.14の未分化型胃がん発覚から入院・手術・退院まで あっという間の6週間の日誌です。同じ経験をされる方の参考になれば幸いです。古い記事を頭に持ってくるためにブログの日付が逆行しています。ご容赦ください。5年間は年2回ペースで投稿します。

3,告知 その日は 2015年5月14日(木)

家に電話したあと、開業している従兄に電話したが当然のごとく診察中だったので、コールバックをお願いする。
 
10分ほどで従兄のK先生から電話が来る。
 
わけを話すと、びっくりしながらもすぐ、S病院を推薦してくれた。
 
その日は、1時半に検査結果を聞いたあと、とある経営勉強会と懇親会に参加する予定だった。
 
病院が決まってしまえば、今日は何もすることがない。
 
予定通り勉強会と懇親会に参加したが、さすがに2次会は遠慮し8時頃、家に帰った。
 
帰るなり妻から言われたのは
 
「ほんとうに電話で話してくれたことだけ?」
 
「うん、ほんとうにそれだけ。多分2/3取ることになりそう。ほら、お世話になってるNさんいるでしょ。あの人も5年位前にがんで胃を全部とっちゃってるけど、一月おきに元気に会社に遊びに来てるでしょ。毎回僕と飲んでるし・・だから大丈夫。まあ詳しいことはネットで調べたりS病院の検査でわかるから。」
 
「うん、実はもう色々調べてたんだけど、パパの話してくれたとおりだったら、手術すれば大丈夫みたいね。」
 
「そういうこと。まあ、あれこれ心配しないでやるべきことをやろう。子どもたちにも話すから呼んできて。」
 
多少懇親会のお酒の勢いもあって、子どもたちにも話すことにした。
 
24,17、13才の3人娘である。
 
それぞれの部屋から出てきた子どもたちに向かって話す。雰囲気を察したのか、皆おとなしい。
 
「これから大事な話をします。こないだの検査の結果を聞きに行ったら初期の胃がんだそうです。でも手術をすれば大丈夫。入院やなんかでいろいろ不便をかけるけどよろしくね。」
 
下のふたりは黙ってうなずく。幸いあまり強いショックは感じてなさそうだ。
 
上の子は生命保険会社に勤めているので多少知識があり、こう励ましてくれる。
 
「男の人の57%は一生の間に1回は何かのがんになるって言うし、これからは美味しいものをちょっとだけ食べる生活だね。」
 
この日は、家でさらにお湯割りを2杯ほど飲んで寝て、翌日はいつもどおり目が覚めた。
 
あとで聞くと、大口開いて寝ていた私のとなりで妻は少し泣いたそうだ。
 
この日一日、自分でも不思議なぐらい、ショックはなく冷静だった。
 
この日考えたのは、最終的な結果はどうあれ、ロビンソン・クルーソーのように、この後もできるだけ普段通り暮らそうということだけだった。
 
もしかしたら、あまりにもたまげたので頭が深く考えることを拒否していたのかもしれない。