未分化型初期胃がんからの帰還

2015.5.14の未分化型胃がん発覚から入院・手術・退院まで あっという間の6週間の日誌です。同じ経験をされる方の参考になれば幸いです。古い記事を頭に持ってくるためにブログの日付が逆行しています。ご容赦ください。5年間は年2回ペースで投稿します。

2017/7/31 術後3年目に突入! 後遺症について

 

6月の胃カメラ&CT検査もおかげさまで異常なしでした。

 
市立病院では胃カメラのときに鎮静剤を打ってもらえないためなかなかに苦しく、今回は担当医のK先生にも相談し、胃カメラのみ従兄の医院で受けることになりました。

 
さて、3年目に突入ということで体もだいぶ落ち着いてきました。

これまであまり語ってこなかった、手術の後遺症についても少し書きたいと思います。
個人差も色々あると思いますので、あくまでも参考情報として・・・

 

後遺症その1 ダンピング症候群
こちらは術後すぐよりもだいぶ落ち着いてきました。食生活でも一度に炭水化物を取りすぎないように注意しているからかもしれません。
私の三分の一残った残胃は、ほとんど活動してないそうで胃液もほとんど出ず、蠕動運動もしてないただの小さな容器のようになっているようです。
逆に残胃に蠕動運動が残った方は、効率よく腸に内容物が送られてしまうため、ダンピング症状が強く出る傾向にあるとのことでした。


ちょっとでもダンピング症状が出るとスコアに大影響の出るゴルフの昼食時は、炭水化物を全くとらずもやし炒めのみ(とノンアルビール)にするか、ハイカロリーでゆっくり消化されるカレーライスを頼んでご飯は半分残すか、にしています。食後はティーグランドごとにブドウ糖の塊を口にして、突如迫る低血糖に備えています。
それから大好きなサンドイッチは消化が早くダンピングの危険があり、また噛んで飲み込んでもお腹の中でまたくっついて大きくなるのか、胸づかえがするのでNGです。
サンドイッチは座ってさえいれば良い新幹線での移動のときなどに楽しむことにしています。
体内に備蓄が少ないためか、ダンピングではないのでしょうが時折仕事に夢中になって、食事を取らなかったりすると、血糖値が下がってフラフラになる時があり、気をつけなきゃと思います。

 

後遺症その2 食べ物のつまり
食後は、基本苦しいです。もうそういうものだと思っています。
小腸の曲がり角や、術後の癒着などで狭くなっているらしいところが苦しいです。
うっかり食べすぎたときはもう、I wanna cry ですが、吐いたら吐いたで、にが~い腸液が食道を直撃しますので、腸内の難所を食べ物たちが通り過ぎてくれるまでひたすら我慢です。
なので食べた後は逆流を避けるために横にはならず、椅子に座って足を投げ出して20分程度休息が必要です。
この間は、家族には話しかけないように、会社では人のいないところにいるように、携帯は鳴らないように祈っています。
昼食のときなど時間の都合でこれができないときは、バナナとかゼリーで済ませることにしています。
宴会など時間をかけてゆっくり食べれるときは、あまり苦しくありません、お酒が飲めるし毎日宴会が良いなと思ってます。

 

後遺症その3 便通の悪さとゆるむお腹
術前は毎朝ちゃんちゃんと来ていた、大自然からのお知らせが2,3日おきになりました。
が、突然ゆるくなって二度三度ということもありますので油断はできません。
おそらく胃酸で消毒されることなく腸内に到達した雑菌類がいたずらしているんじゃないかなと思います。
これはビオフェルミンを毎食時に服用することでだいぶ改善されてきました。

 

後遺症その4 低体重
胃が三分の一になったということは簡単に言えば毎食の量が三分の一になったことになるわけです。体重は15%以上減少し、体脂肪率は現在10%前後です。
洋服はすべてワンサイズ小さいものに買い直しました。ジーパンは市販の一番小さいサイズでも少しゆるいです。
体脂肪はじめ、いろいろ備蓄がなくなりましたので、「今日食べたもので動いている」感じです。
体温調節も上手く行かなくなり、冷えたり火照ったりと更年期の女性の悩みの一部を共有しています。
夜遅くまで仕事頑張るというような、気力体力は残念ですがなくなりました。そのぶん無駄や自分がやらなくて良いことをやらないことで成果向上を図っています。

またせっかくスリムになったので、プライベートではピタTを着ることが増えました(ブカブカだと逆に貧相になる)。

 

後遺症その5 満腹感の喪失
「あー食った食った」という心地よい満腹感を感じるより前に、残念ながら満腹の苦しさが先にやってきます。
「その後ついでに餃子も食べよう」(まる子ちゃんの後テーマ 針切り爺さんのロケンロールより)という気持ちはもうなれません。
食事の際は「自分の頭の三分の一」が胃の最大容量と考えて、それ以上間違って摂取しないよう注意を払ってますが、なにぶん誘惑に弱いタイプなので、「後悔先に立たず」という言葉を定期的に噛み締めています。あとは間食時につまらないものでお腹を一杯にしてしまわないよう気をつけています。

 

まあほかにも言い出したらキリがないけど5大後遺症についてはこんなところです。

正直、生活の品質はこのように低下しますが、がんのおかげで気がついたことや、他にも楽しいこともいっぱいありますし、まだまだ挑戦したい仕事も沢山ありますから、こいつらと付き合いながら頑張るかって感じです。そもそも「命あっての物種」ですから。

 

体の中の問題なので五体満足な見た目があんまり変わらないせいか、なかなか理解して頂けなかったり、誤解をされたりしてキツイ時もありますが、そこはお互い様って思うことにしています。

 

さてここまで読まれて「手術以外の治療について考えなかったの?」と思われる方もいると思います。
確かにそれも一つの考え方だと思いますが、年齢的にまだいろいろやらねばならないことやりたいことがあったため、安全性に一定のエビデンスがあり、一番確実な手術を選択したので、未だに後悔はありません。つまりローリスク・ローリターンを選択したわけです。
ただ、自分が75歳とか80歳を過ぎて一般的な寿命に近づいての発覚でしたら、もしかしたら免疫療法なんかも考えたかもしれませんね。

 

そんなわけで、仕事もゴルフもできて、家族や、社員、友達や仲間も大事にしてくれるし、月並みですが「毎日感謝しながら生きていこう」と思っています。

もし将来IPS細胞とかで人工の胃でも出来たら、導入を検討してみたいですね(笑)